施工事例: I-house
お客様からの要望
夫婦+子供2人+祖母の5人家族の住まいの計画。すぐ隣には生まれ育った立派な日本家屋があるのですが、冬寒く、室内は薄暗い感じになってしまうので、そこでの生活にはやや抵抗があったようです。
また、一時期コンクリート打放しの家にも住んだこともあり、そこでの寒さがかなり厳しかったらしく、寒さに対して恐怖心すら抱いてしまうほどで、家の防寒対策に対しては強い要望がありました。家族の仲は大変良く、寝室と子供室は直接行き来できるようにしたいという、他ではあまり聞かないような要望もありました。
祖母とは生活の時間が多少異なることから、音の対策も考えたいということ、仏壇、神棚を置きたいという要望もありました。室内全体としては、木の質感が感じられるあたたかい雰囲気にしたい。外観は、日本家屋の暗いイメージではなく、明るい白いイメージのすっきりとした雰囲気にしたいということも伺いました。
要望箇所の抽出(整理)
- 夫婦+子供2人+祖母=5人家族
- 冬暖かい家
- 明るい空間
- 子供室と寝室は行き来できる
- 祖母室は遮音効果
- 祖母室に仏壇、神棚設置
- 木の質感が感じられる家
- 明るく白いすっきりした外観
提案内容
計画当初はビルトインガレージの要望もありましたが、何度か打合せを進めるうちに、予算との関係もあり、建物の機能を増やして面積を広げるのではなく、素材や空間などの質を上げていくほうがいいねという話になりました。結果、ガレージは既存をそのまま使用することとなりました。
室内の仕上素材については、壁天井共ホタテパウダーを採用し、やさしい質感と快適な環境となるような材料を採用することにしました。ホタテパウダーというのは、ホタテの貝殻を粉にして塗料としたもので、湿気だけでなく臭いも吸収してくれるため、室内はいつでもさらっとした快適な状態でいられる優れた機能を持つ素材で、マットな白色のざらざらとした質感も空間を落ち着かせてくれる効果があります。個人的にとても気に入っている材料のひとつです。今回はお客様にも大変気に入っていただけました。
空間の質としては、どのように空間の奥行きを出すかということを考えながら計画し、実際よりも広く感じられるような構成を意識しました。またこの建物では、光の入り方や見え方にも楽しさが感じられるようにしました。たとえば、階段部分の蹴上部分にパンチングメタルという穴の開いたスチールプレートを採用し、階段下収納の換気を目的とするとともに、階段下収納の照明を付けるとそこから光が漏れ、星を散りばめたような感じを演出しました。
子供室の天井には天窓から降り注ぐ光が木製ルーバーを通して造り付けの机全体を照らすようにし、木製ルーバー部分には照明を仕込み、夜間は照明の光が降り注ぐように演出しました。この光は、子供室に面した吹抜けを通りリビングにも落ちていきます。今回はダイニングチェアなども一緒に家具屋を巡りながら探し、購入したダイニングチェアに合わせてテーブルをオリジナルでつくり、部屋全体の統一感が得られているのも特徴の一つです。