施工事例: 国久保の家
お客様からの要望
2世帯住宅の計画依頼。すべてが別々という2世帯住宅ではなく、玄関は一緒で、階で世帯分けされていればよいという要望でした。つまり、玄関入って1階が親世帯、2階が子世帯のスペースとなっており、キッチン、お風呂はそれぞれの階に設けるという計画。
両親は自営で着物の販売の仕事をしており、たまの来客のためのスペースを1階部分(親世帯)に必要ということでした。この客間には隣接して大きめの納戸が必要であり、職種上畳のスペース(和室)を要望していました。
2階部分(子世帯)には、LDK以外には寝室と子供室1室が要望されており、建物全体としては、明るく広々とした部屋構成にしたいということ、駐車スペースは3台+お客様用に1台の計4台が駐車できるようにしたい、といったことがお客様から挙げられていました。
要望箇所の抽出(整理)
- 2世帯住宅
- 1階は親世帯、2階は子世帯
- 玄関は共通
- 1階に客間+納戸
- 2階はLDK+寝室+子供室
- 駐車台数4台
提案内容
敷地は東側の道路に接道する部分を1辺とした三角形の変形敷地で、まず4台の駐車スペースをどう確保するかから考え始めました。通常使う3台と客用の1台を分け、できるだけ敷地が有効活用できるように計画しました。
玄関部分や階段、廊下の共有部分は明るく開放的になるようにし、玄関上部には吹抜けを設けました。玄関に入った時に、吹抜けによって1階の雰囲気が2階にも届くようにという意図もあります。おおまかな間取りは1・2階同じ形状で、共有部分を中央にして南側にLDK、北側に寝室を配置しています。
1階のLDKからは南側の隣地に育つ木を借景として取り込み、空間が外部にも伸びていくように広がりを感じるようなデッキとして計画しました。LDKの隣には客間としても使える和室を配置し、お客さんが来たとき以外でもいつでも使えるようにし、いざというときすぐに仕切れるようにしています。もちろんこの客間は玄関から直接行き来できる配置としています。
2階の寝室に置かれた家具(引出部分)は、以前曾おばあちゃんが使っていた化粧台をリメイクしたものです。特に立派なものではないけれど、捨ててしまうのも気が引けるということをおっしゃっていたので、一度預かり、きれいに手直しして、棚に合わせて机もつくってみました。記憶が残るというのも空間への愛着に繋がるので、できるだけ大事にしたいと思いました。床材には栗の木を使用しています。硬すぎず柔らかすぎず、とても上品な木目の床板です。敷地形状が三角形のため、建物平面も三角形となり、見る角度によって建物の表情が変わるおもしろい住宅となりました。