施工事例: O-house
お客様からの要望
「プロヴァンス風の家が好みなんです」というお客様の言葉からスタートした本計画。しかし、話を聞いていくとそれは外観の好みのイメージの断片であって、実際には和室が欲しいとか、大きな納戸が欲しい、寝室は畳がよいといった和のテイストの要望がいくつか並んでいました。
打合せ時にはとりあえず思っていることはすべて出してもらうようにしていますが、時には「さて、どうしよう…?」
という要望も含まれていたりします。今回出てきた「プロヴァンス風」というキーワードもそう。そのまま「プロヴァンス風」を形にしてしまうと、その立地には不釣合いの浮いた建物になってしまいます。表層だけをつくりあげても長い年月住まう住宅には無理があるように思います。
その後、打合せを何度か繰り返しながら要望を整理していくと、「プロヴァンス風」というのは、白っぽい塗り壁、明るい空間、タイル貼のキッチン、切妻の屋根、素材の質感の感じられる家という別のキーワードに置き換えることができることがわかってきました。さらに打合せを重ねていくうちに、好みも少しづつ変化していったようでした。
ということで、要望を再解釈し、整理し、本当にいいなと思うものを見直しながら計画を進めていきました。
要望箇所の抽出(整理)
- 白っぽい家
- 質感ある塗り壁
- 明るい空間
- 和室
- 寝室は畳
- 大きな納戸
- タイル貼のキッチン
- 切妻屋根
提案内容
「プロヴァンス風」というキーワードを再解釈することで、お客様の望んでいる本質を探り、その場所に馴染むような建物として新たな提案をさせていただきました。
各室の計画は以下のようになります。まず玄関は半屋外的な雰囲気でお客様を迎える場とし、広い吹抜けを持つ土間としました。LDKと和室は、それぞれの空間がそれぞれの用途を持ちつつ、一つの大きな空間となるように配慮しつつ、必要なときには仕切れるようにしています。仕切り戸は壁内に収納させ、目立たないようにすることで、一体となった空間の開放性がより感じられるようにしています。
ダイニング部分の上部も吹抜けとなっており、明るい日差しが上部から降り注ぎ、空間全体に光が広がるようにしています。かっこよく言うと、地中海の雰囲気を光に見出したのです。玄関の吹抜け、ダイニングの吹抜けの間には寝室があり、寝室に居ながらいつでも家の中全体の雰囲気が感じられる配置となっています。各室の壁、天井は漆喰で仕上げられ、また、適度に木の雰囲気が伝わるようにし、やさしい質感が空間を包み込むようにしました。